舞踊の始まりは人類がこの地球上に生活の営みを始めた頃がその発祥では ないかと言われています。日本では古代から神事に始まり、その後宮廷舞 踊としての歴史が刻まれています。
しかしその遥か昔この地上に神々が居られたという時代に神が教えを人々 に伝える為に舞を舞ったという話も残っています。


「郡司正勝著『おどりの美学』」によると「和銅5年に成立された「古事記」 の中にある「天照大神の岩戸隠れ伝説」を、まったくの虚構とは言い切れな い所がある。注目すべき描写として『天宇受賣命(あめのおずめのみこと)天 の香山(かぐやま)の天の日影をたすきにかけて、天の眞折(ませき)をかづら として、天の香山(かぐやま)の小竹葉(ささば)を手草(たぐさ)に結ひて、天の 岩屋戸(いはやと)に汗気(うけ)伏せて踏み登杼呂許志(とどろこし)神懸り為 し(かみがかりして)・・・・・』(若い美しい娘が襷がけで、ツルマサキを髪 に巻いて、笹をてにして、桶を伏せて神懸り状態で舞い狂う様が描写されて いる。)」リアルに残っているこの描写は古代では神と人間との心の距離、 人間が遥かな尊きものを信じていたからこそ舞うことによって神に近づく 事が出来たとも考えられるのではないかと思います。又柳田国男著『日本の 祭り』においても「本来は『たたへごと』と称して「神様の大きな力、無始 の昔から里人との因縁、必要ある場合にはいつでも出現なされて、尊い啓示 をたまわることを、一同かたく信じて少しも疑って居りませぬ」という意味 などを、熱心をこめてくり返して語って居るうちに、自然に恍惚として人か 神かの境に入って行くのが最初の舞・・・」と記している。

「神懸り」とは『神が乗り移って舞う』『神の舞』とも言われています。
韓国には「芸能の儀式として残っている舞踊は踊りながら「恨(ハン)」を解 き放って行く。」これは踊る事で解脱に至る。といわれています。
つまり舞う、踊る事によって、舞い続けることでより高度な世界へ、執着を 無くする方向へと心が向かう事を意味しているようです。
遠くギリシャ、エジプトの地であっても「舞・ダンス・踊り」はその本来の 意味は変わる事無く伝えられています。
人間の魂のなかには、真実の真、真なるもの、善なるもの、美なるもの、が 歴然と存在しています。その心の発露として遥かな尊きものへの憧憬として の舞が存在し、それ以前は神そのものが舞う事によって人々に真・善・美を 神の教えを伝えていたという伝承が存在しているのです。
その発祥から幾多の年代を経て神事として、霊魂のためのものとして人々の 中に受け継がれてゆきました。
その歴史の流れが、「古代宮廷社会で発達した舞楽、中世の武士貴族に支持 された能楽、近世の庶民階級の中で生成された人形浄瑠璃、歌舞伎の中にも 舞・舞踊が内蔵されている。「世阿弥が『花鏡』の中で「抑抑舞歌とは根本 如来蔵より出来せり」また「天人の舞歌の時節」「天道は舞歌の時節」とい い舞踊は地上界のものではなく、仏世界、天上界から、この地上に影をとど めたものであるとしている思想である。そして、その天上界の影をこの地上 へ宿すためには、その資格に、なんらかの印が必要であったのである。」「郡 司正勝著より」
つまり舞・舞踊は「技術をのみ見せるのではなく、その技術を支えている精 神を伝え表現するものである。」と考えます。



私が舞っている_の基本それは「御殿舞_」で学んだものです。
かつて姫路城の城内で武家の奥方や娘達に作法と武家の婦人としての心得 として_継がれていました。その為「舞」の字に人偏がつき「_」となって います。現在まで300年の歴史があり、扇は懐剣の代わりであり、その所 作は能の形態を基本とし、能と舞と舞踊の中間に位置します。しかし時代と 共に上方舞・地唄舞へと変化してゆき、今は「上方舞・地唄舞」と言われる 舞踊の種に属しています。
「地唄」とは別名「上方唄」とも言われ、上方に興った長唄(組唄)が、劇場 音楽から離れると共にこう呼ばれるようになった。歴史は、室町時代にさか のぼり、この音曲に振りをつけて舞う事で「上方舞・地唄舞」と言われ、そ の表現は能と歌舞伎舞踊の中間である。
表現が静の時は心は動、表現が動の時は心は静。
心が精神が常に中道でなければその両極を表現する事が出来ず、舞の基本は 精神を鍛える。心を見つめる事を大切にする事です。
「舞踊の美は素材の肉体の美そのものでないことはいうまでもない。肉体を 離れては舞踊美は成り立たないが、しかもこの肉体を離れた世界において はじめて舞踊美が存在するという事を知らねばならない。このときの肉体は たんなる生理的な肉体であるのではなく、肉体の律動によって表現された生 命観の対象としての意味をもつ芸術となるのである。
生理的肉体のかもし出す美は一時の花である。舞踊の美は、舞踊のもつ特有 の時空の中で、一時の花である生理的肉体を障害とし、これを克服する事に よって永遠の芸術の花を開いて見せるのである。」「郡司正勝著」より
この全てを基本としてより心を見つめ、精神を高め、かつて舞によって天上 界をこの世に表現したように「風の舞・上方舞」で真・善・美を創造出来る よう努力して行きたいと思っています。 

「風の書 風の舞」 立花青昇

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